
こんにちは、特命リーマンです。
本日紹介したい本はこちらです。
作者:遠藤功
タイトル:結論を言おう、日本人にMBAはいらない
筆者は、三菱電機に勤務しているときに、社費で米国ボストンカレッジで学びMBAを取得しています。帰国後は、米系戦略コンサルティングファームに転職、早稲田大学ビジネススクールで教授としても活躍した人物です。
自分がMBAを取っておきながらこのタイトル。なんとも皮肉にも聞こえますが、経験しているからこそ伝えられるメッセージもあると思い、本書を手に取りました。


結論を言おう、日本人にMBAはいらない (角川新書) (日本語) 新書 – 2016/11/10
本書の結論
タイトルの通り、日本人にMBAはいらない、です。
理由を二つに集約すると以下です。
①ほとんどの日本企業は、MBAの価値を認めていない
②日本のMBAの「質」が低すぎる
なぜMBAを取ろうと思うのか?
キャリアアップ、キャリアチェンジをしたいから、ではないでしょうか?
そんな目的を実現するために、MBAというシグナリングを活用したいのです。
MBAを手段として考える場合、その先には経営に関する仕事に就きたいと考えるのが一般的でしょう。
そこでよく言われるのが、「スクールで学ぶことと、現場とでは、雲泥の差がある」です。
つまり、勉強なんてしてないで、現場に出ろ=経営者になりたければなれ、ということです。
自分の求めるキャリアとは
言っている意味はわかりますが、自分がどんなキャリアパスを描きたいのか、もう少し細かく考える必要があると思うんです。
外資系企業でマネジメントポストを得たい場合、MBAは必須でしょう。
MBAがなくても活躍する機会はもちろんあるでしょうが、欧米ではMBA取得者がわんさかいますし、トップスクールを出ているかどうかが重要になります。
一方で日本企業でマネジメントポストを得たい場合、MBAは必須ではない。
これは筆者が言っているように、ほとんどの日本企業はMBAの価値を認めていないためです。
実際に、日本人でMBAを取った人が就く仕事といえば、外資系コンサルティングファームや外資系金融が一般的ではないでしょうか。
日系メーカーに入り、泥臭い仕事をさせられる現実は、思い描いていたものとは大きく隔たりがあることは想像に難くありません。
それでもMBAに興味を持ってしまう理由
中堅社員に活躍の場を与えない日本企業に責任があると考えます。
日系企業で頑張る場合、MBA取得による経済的リターンは大きくは見込めません。
それでもMBAを取ろうとする理由は、「将来への不安」からではないでしょうか。
いつまでたっても同じような仕事をタスクされ、成長の実感がない。一方で同世代ではバリバリ仕事をしてキャリアを駆け上がっている奴らがいる。俺はこのままでいいんだろうか。。。
そんな心の隙間を埋めるのがMBAというわけです。
MBA取得にかかる苦労
それは大変でしょう。講義ではケースを取り扱うことになりますが、それの読み込み、および、何らかの課題が与えられます。それがまた難しい。
平日の夜や土日は、ほとんどMBAにまつわることに時間を割くことになります。
この「やらざるを得ない」環境こそが、人を成長させるんだろうと思います。
その意味でMBA取得は「あり」とも思いますが、そこまでの決意がある人であれば、短絡的に「MBA」に舵を切らなくてもいいんじゃないかな、というのがぼくの考えです。
目の前の仕事にのめり込む
本書では以下の記述があります。
それでは、二十代後半から三十代のビジネスパーソンがMBAプログラムに頼らずに、真の力をつけるためにはどうしたらよいのだろうか。
その大前提となるのが、「真の力は仕事を通じてしか身に付かない」ということだ。どれほど経営書やビジネス書を読み漁って勉強しようが、それで力がつくことはありえない。
自分はやりがいのある仕事をさせてもらえていない、と思う人。
そう思うこともよくわかりますが、仕事ができる人は、どんな仕事も自分で面白くする工夫をしているのも事実です。しょうもない仕事だと思えば、プロセスを自動化して自分の負担を減らし、もっと意味を感じられることに時間をあてる、といったことだってできます。
仮にプロセスを自動化させようとしましょう。それにのめり込んでいけば、色んなことに気が付きます。問題意識が生まれます。この問題意識こそが、意欲的な勉強へとつながっていきます。
勉強のための勉強に価値はない。明確な問題意識もなくビジネススクールに入学し、与えられるままに教科書を読み、ケーススタディをこなしたところで、力がつくはずもない。
目的があるからこそ、知識は生きる。目的を明らかにすることが、勉強の効果を高める必須条件だ。
ビジネスで勝ち残るための4つの勉強法
①基礎を身に付ける勉強 →ビジネスのルール全般
②潮流についていく勉強 →自分に関係のないニュースはない。アンテナの感度を高めよ
③現場で感度を磨く勉強 →現場でしかわからないこともある。
④アウトプットを生み出す勉強 →ビジネスプランや企画書の作成、人に教える、本や記事・論文を書く、ブログも然り!
最後に
ぼくのケース。ビジネススキルの向上は求めたいですが、本質的には、今の仕事で成果を出す、ということになろうかと思います。
そのためには、製品の知識はもちろん、市場がどうなっているのか、競合はどんなことをしているのか、今後どんな製品がカスタマーに必要と思われるだろうか、といったことに頭を使っていきたいと思っています。
MBAは取る必要なし=勉強不要、ということではないことは強調しておきます。
勉強はめちゃくちゃ大事です。勉強せずに生き残っていくのは、かなり厳しい現代です。
自分に必要な勉強を、目の前の仕事をする中で見出し、確実に時間を振り当てていくこと、習慣化させることが重要だと思います。
今までできなかったことをできるようにしていく、そんな日々を繰り返す中で次のステージが見えると信じてやっていくのみ、という心境ですかね。
以上、最後までお読みいただきありがとうございました。
特命リーマン